« 2017年10月 | メイン | 2018年2月 »

2017年12月 アーカイブ

2017年12月29日

宝さがし ~The Treasure within~

「このビデオ,ネットに上げてもいいですか? Sちゃんの名前入っているんですが...。」
「えぇ,もちろんいいですよ~(笑)。」

ずっと以前にOKを得ていながら,忙しくしていてアップできていなかった動画。私がゼミ生とやっている研究活動の一場面ですが,そのスピリットを伝えてくれるとても大切にしているビデオ。
今年8月,京都で行われた日本小児看護学会のテーマセッションでも使わせていただきました。

Sちゃんは,手足に障害があって積み木をもって遊んだり,走り回ったりができません。言葉も話せません。
そのSちゃんにゲーム用の視線センサを使ってゲームをしてもらいました。見えにくいけど,真ん中にある地球が自分。周囲から隕石が降ってくるので,それを「見る」ことでやっつけるというシューティングゲームです。

もう1年以上前。こども療育センターの二葉園でのこと。
周りにはお母さまと小学生のお姉ちゃん,施設の言語聴覚士さんと私,そしてうちのゼミ生たちがスマホで撮影。

ご覧いただけますでしょうか。
ボリュームを少し上げてください。ビデオ中の「音声」を聞いていただきたいのです。


その場にいる全員の口から思わず何度も出ている言葉に気づきましたか?


「すごい!」「すごい,すごい!!」という言葉。

その場に居合わせた皆が,Sちゃんがもつ可能性を見つけた瞬間です!


~~~ ※ ~~~ ※ ~~~ ※ ~~~

Sちゃんは,私のゼミにとっては大切な研究パートナー。今年から,Sちゃんのおうちに視線センサをつけたパソコンを置かせていただいて,私たちが開発したプログラムなどいろいろ試していただいています。

下のビデオは,年明けのテストに向けて,ゼミ3年生と開発中のプログラム。波紋のように見えるのが視線です。
私たちは,Sちゃんのような障害をもった子どもたちに,視線を使った文字や言葉の学習をサポートしようと考えているのです。



~~~ ※ ~~~ ※ ~~~ ※ ~~~

「まるで宝さがし。」

子どもの成長・発達を支援するために,実験心理学や知覚・認知心理学を専門とする我々にできることはないか...。たとえ障害があっても,子どもができる行動の中で成長の足がかりとして使えるものはないか...。いつも考えながら感じます。

そして,探せばちゃんと見つかるんですよ! ...お宝は! (^o^)


今年は,近所の高齢者施設「神田山長生園」とも連携させていただいて,デイサービスで月に1回の脳トレゲームコーナーを開催させていただきながら,お年寄りの皆様とも宝さがしを始めました (^^)。

宝さがしを始めて気づいたこと...もう,老化する一方だと思っていた自分の中にも,まだ気づいていなかったお宝が,たまに見つかること。

ゼミ生たちと一緒に,ときに無謀(?)とも思える研究や活動にチャレンジしているのですが,これが発見に満ちていて,おもしろい!


学生を育てる役割なのに,こちらも育てられている...。


~~~ ※ ~~~ ※ ~~~ ※ ~~~

実は,このような宝さがしは,私たち教育に携わる人間がもつべき基本的視点なのです。


20年あまり前,21世紀を迎えるにあたって,ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は新たな教育や学習のあり方についての提言を行いました。

そのときの報告書のタイトルが,「学習―秘められた宝―(Learning: The Treasure within)」。
人が内に秘めた宝を見つけ出すことこそ,教育と学習の役割というのです。


どうすればお宝が見つかるのでしょう。
報告書では,以下の4つの学びが大事だと述べられています。


 知ることを学ぶ(learning to know)
 為すことを学ぶ(learning to do)
 共に生きることを学ぶ(learning to live together)
 人として生きることを学ぶ(learning to be)


大学で勉強して,それを地域で活かして,お互いに助け合って,人として生きる。
なんとまぁ...,今,僕らがやっていることじゃないですか~ (^^)。


~~~ ※ ~~~ ※ ~~~ ※ ~~~

さて,そんなこんなで,あなたにも大切なお宝が見つかったとします。

それを人にあげちゃいますか?

モノならば,人にあげたら,なくなりますが...,心の中に見つけたお宝は,人にあげても,なくならないんですよ。
むしろ,あげればあげるほど,増えていく。


今日,12月29日,学生とやっているボランティアサークル「ひよこ」の活動に対する,たぶん今年最後だろうお礼のメールが私のもとにやってきました。


 得たものなのに,あげてもなくならない。
 使っても,使っても,すり減ることさえない。
 だから,人とのかかわりの中で,皆が与え合える,もらい合える。
 そして,そうやって身につけた宝は,人として生きるときに...輝きを増す!


そんな宝があるからこそ,宝さがしはやめられません。


皆さまにすばらしい宝が見つかりますよう。
どうぞよい年をお迎えください。

(吉田弘司)

About 2017年12月

2017年12月にブログ「比治山大学 社会臨床心理学科」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2017年10月です。

次のアーカイブは2018年2月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。